老人福祉施設虐待防止指針

Information disclosure

社会福祉法人函館共愛会老人福祉施設、愛泉寮・みなみかやべ荘・知内しおさい園・まろにえ(以下「各老人施設」という。)は、施設入居者及び施設利用者への虐待防止を図るための指針を次のとおり定めます。

1 当事業所における虐待の防止に関する基本的考え方

高齢者虐待は、人権侵害であり、犯罪行為に該当することもある許されざる行為です。
各老人施設は、高齢者虐待防止法の理念に基づき、高齢者の尊厳の保持・人格の尊重を重視し、権利利益の擁護に資するため、施設入居者及び施設利用者の虐待防止や虐待の早期発見、早期対応に努めることを目的とします。

2 虐待防止対策委員会その他事業所内の組織に関する事項
  1. 各老人施設内に、虐待予防対策委員会(以下「委員会」という。)を設置します。
  2. この委員会の委員は、身体拘束に関する委員会を兼任することができます。
  3. 委員会は、年1回以上の定期的開催(以下「定期委員会」という。)と虐待被疑事件が発生した場合の適宜開催(以下「適時委員会」)の二種類とします。
    なお委員会は、定期・適時ともに同一の主体が行います。
  4. 委員会の構成員は、8名以内とし委員長を互選により選出します。
    委員長は、虐待防止の一連の措置を適切に実施するための担当者を兼任します。
    委員会の議事録を作成する書記を一名、委員会ごとに選出します 。
  5. 委員会内に、虐待が疑われる場合の相談・通報窓口を設けます。
  6. 定期委員会は、主に組織体制や研修など運営に関する事柄を扱い、適時委員会では通常業務において発生する虐待事件に随時対応します 。
  7. 定期委員会は、主に次の事項について検討します。
    ただし、ホ・へ・トについては、各事件につき、適時委員会において速やかに評価・検討を行います。

      イ 委員会その他事業所内の組織に関すること
      ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
      ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
      ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
      ホ 従業者が高齢者虐待を把握した場合、市町村への迅速な通報に関すること
      ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析、再発の確実な防止策に関すること
      ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
  8. 適時委員会は、養護者(利用者の家族等)による虐待や職員による虐待が疑われる場合、若しくは職員その他関係者から虐待通報や虐待に関する相談がなされた場合、速やかに開催することとし、主に次の事項について検討します。

    イ 問題とされる事実の確認
      ロ 問題とされる事実の評価(虐待認定)
      ハ 虐待認定した場合の市町村への通報
      ニ 虐待認定しない場合の組織的対応の検討
      ホ 職員が虐待した場合の処遇(懲戒処分等)に関する法人本部との連携
      へ 職員が虐待をした場合の被虐待者への謝罪や法的責任の履行に関する検討
      ト 職員が虐待をした場合の関係者への謝罪や対外的な事実公表に関する検討
      チ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
      リ 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
  9. 委員会で協議し決定した事項は、事業所従業員全員に周知徹底を図ります。
  10. 委員会の議事録のうち個別事件に関する部分については、秘匿性の高い情報を扱うため原則として非公開とし、法令の定めにより開示すべき場合にのみ対応します。
3 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針

虐待の防止、早期発見と発生時の速やかな被虐待者保護を実効化するため、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時に虐待防止のための基礎研修を実施します。
研修の実施にあたっては、本指針に基づき、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発や虐待の防止の徹底に関する内容とし、研修結果は各老人施設において記録し保管しておきます 。

4 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
  1. 何人も、高齢者虐待防止法に定める虐待(身体的, 心理的, 性的, 経済的, 不作為による虐待)を受けたと思われる高齢者を発見したときは、速やかに関係機関と連携し高齢者の生命・身体・財産の保護に努めます。
  2. 虐待が起きたことが明らかな場合や被害が深刻であるなど緊急性が高い場合、「虐待を受けたと思われる」場合は適時委員会を通す必要はなく、直ちに市町村または地域包括支援センターに通報し、委員会にも並行して相談・連絡・報告をします。
  3. 虐待の有無が不明である場合や虐待と認定すべきか分からない場合は、適時委員会に都度速やかに報告・相談を行います。
  4. 虐待認定に際し、虐待をする者・されている者の自覚は問いません。
  5. 虐待の通報者は、通報をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いを受けないとともに、通報者の特定に資する情報を漏らさないようにします。
  6. 虐待の事実誤認により相談・通報をしたとしても、秘密漏洩や守秘義務違反に問われることはありません。
5 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
  1. 相談窓口は, 原則として営業時間内とし, 緊急性の高い場合のときは被虐待者の生命・身体・財産の保護を優先し柔軟に対応することとします。
  2. 口頭での報告や相談を受け付ける窓口のほか, 電子媒体等の活用を図ります。
  3. 相談・報告を受けた場合, 窓口担当者は速やかに委員会に報告し, 原則として適時委員会を開催します。
  4. 相談者や通報者の特定に資する個人情報は, 保護され, 虐待者等に漏らさないようにします。
  5. 相談・報告の記録は, 都度窓口が作成し万全なセキュリティ対策を講じたうえで保管しておきます。
6 成年後見制度の利用支援に関する事項

虐待防止と権利擁護の観点からは、以下のような状況に応じて成年後見制度を活用することも必要となります。また、虐待者が家族の場合は、後見申立を期待できないため、他の4親等内の親族を調査するか、行政に対し市区町村長による申立を積極的に求めます。

  1. 身体的虐待や不作為による虐待(ネグレクト)等が原因で、老人福祉法上の措置により特別養護老人ホームなどに入所しましたが、被虐待者が認知症等である場合
  2. 認知症の被虐待者が親族等から経済的虐待を受けている場合。
  3. 虐待を受けておらずとも、独居等、身近に保護者となる者がいない認知症者が詐欺や押し売り等の被害に遭い、又は被害に遭うであろうことが予想される場合。
  4. 虐待を受けておらずとも、独居等、身近に保護者となる者がいない認知症者が自身の生活環境を維持できず、生命の維持が危ぶまれる(セルフネグレクト)状態となることが予想される場合。
7 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
  1. 虐待通報後、虐待者から問い合わせや苦情が来た場合は委員会に報告し、以後委員会において対応します。このとき、通報者の氏名等を聞かれても開示はできません。
  2. 虐待通報後、虐待者から恫喝等の違法行為を受けた場合は、速やかに警察に通報します。
  3. 養護者が虐待者である場合は、養護者の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導及び助言その他必要な措置を講じるようにします。
8 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項

本指針は、利用者・家族や関係機関が閲覧できるよう各老人施設内に掲示するとともにホームページに掲載します。

9  その他虐待の防止の推進のために必要な事項

本指針の詳細については、社会福祉法人函館共愛会高齢者虐待防止マニュアルに基づいて対応します。また、「高齢者虐待防止、高齢者の擁護者支援等に関する法令」の改正等が行われた場合は「老人施設身体拘束・虐待マニュアル編成委員会」で当該指針に関する変更内容について適宜協議します。

附 則

本指針は、令和5年4月1日から施行します。